得物を持っての稽古の中でも、特に長物(槍や薙刀など)は、四方に注意をして稽古をするよう心掛けて下さい。
長物(長い得物の総称)についてですが、林流ではまず初めに棒術から始めます。
これは琉球古武術でいう「棍術」をベースに、林が工夫をして手を加えた稽古様式で行いますが、六尺棒(1.8メートル)を使って行いますが、これは太さは1寸径の物を選んで下さい。
慣れない間は、棒もとても重たく感じますから、重さにも気を配ると良いでしょう。
金額的には、赤樫なら7千円くらいからあるようですが、棒でも何でも携帯する場合には、袋に入れて持ち歩きます。
こちらも数本入る物などありますから、好きな物を選んでみて下さい。
薙刀ですが、流派によって薙刀も、長さが違います。
一番ポピュラーなのは「全日本なぎなた連盟規格の物」ですが、武道具屋では、こちらしか扱っていないお店も多いようです。
ただこの薙刀は7尺(2.1メートル)もあり、またこの連盟自体の発足が1953(昭和28)年とあります。
もちろんこの薙刀でも稽古は出来ますが、林流では古流の薙刀術からヒントを得た稽古方法を行っているので、直新影流の薙刀(197センチ)を採用しています。
金額的には、赤樫で9千円程度です。
槍も薙刀も、時代によって、また使う人の好みで長さも重さも変化していった得物達です。
まずは棒術で基本を覚えますが、一番大切なのは「持ち替えと廻し方」を会得する事です。
1.8メートルの長さにまずは慣れて、組手なら双方を棒で構えれば、今まで扱っていた刀とは、両者の距離(間合いと言います)が全く違います。
人生で、こんなに長い物を振り回すのは滅多にない経験ですし、廻し方を覚えればこれはデモンストレーションにも使えますし、さて長い物をラクに扱うにはやはり、コツもあります。
棒を手の中で滑らせるなどしてまず、「持ち替え」をマスターしましょう。
突く、斬る、叩くなどの他に、長物ならではの「長さを活かした扱い方」をどうぞ会得してみて下さい。
林邦史朗の編み出した稽古方法では、長物全般においても、林の編み出した殺陣のステップ「体捌きABC」を基に紡がれています。
長物編
長物 | 内容・筆記資料の有無 | 映像資料 |
---|---|---|
(基本) | ||
1.長物全てにおける持ち替えと廻し方 | 順手持ちや逆手持ち、棒の引き取り方など10種紹介)・有 | 長物編 |
林流棒術 | ||
1.構え8種 | 棒術での構え方・有 | 長物編 |
2.受け8種 | 棒術での相手の攻撃の避け方・有 | 長物編 |
3.攻撃8種 | 棒術での攻撃様式・有 | 長物編 |
(実践) | ||
1.林流棒術12本組手 | 琉球古武術の棍術に、宮本武蔵の技を2本足した稽古様式・有 | 長物編 |
2.林流棒術連続組手 | 琉球古武術の15本組手に、林が数手足した稽古様式・有 | 長物編 |
3.周氏の小の型 | 琉球古武術の棍術で、四方の敵を想定して20手ほどを舞のように行う稽古様式・有 | X |
4.周氏の大の型 | 同様に、四方の敵を想定して30手ほどを舞のように行う稽古様式・有 | 長物編 |
5.佐久川の棍 | 同様に、四方の敵を想定して40手ほどを舞のように行う稽古様式・有 | 長物編 |
林流槍術 | ||
(基本) | ||
1.槍の説明 | 槍技の特徴などについての説明・有 | 長物編 |
2.構え3種 | 槍特有の構え方・有 | X |
3.受け11種 | 槍での相手の攻撃を避け方・有 | X |
4.攻撃6種 | 槍での攻撃方法・有 | X |
(実践) | ||
1.4人掛かりの殺陣映像 | 槍の特徴を活かした殺陣の映像・無 | 長物編 |
2.林流槍の型 | 2014年大河「軍師官兵衛」の折に林が創作した、四方からの敵を想定した20手ほどの、舞のように行う槍の稽古様式・有 | X |
林流薙刀術 | ||
(基本) | ||
1.構え5法 | 右順手持ちと左順手持ちで行う、構え方(棒術に準じる)・有 | 長物編 |
2.受け10法 | 右順手持ち、左順手持ち、逆手持ちでも行う薙刀での相手の攻撃の避け方・有 | 長物編 |
3.攻撃10法 | 右順手持ち、左順手持ちなどで行う攻撃方法・有 | 長物編 |
4.受け即攻撃12法 | 右順手持ち、左順手持ちで行う、相手の攻撃を避けてすぐ反応する技の稽古様式・有 | X |
(実践) | ||
1.林流薙刀の型 | 相手の攻撃を想定した薙刀で、舞のように行う稽古様式で、デモンストレーションも含まれる40手ほどの型・有 | 長物編 |
2.林流薙刀12本組手 | 打ち手は刀、仕手は薙刀で行う組手での稽古様式・有 | 長物編 |
3.林流薙刀組手・補足 | 組手で使われている受け方、技、特殊な斬り方の説明や長物ならではの注意事項・無 | 長物編 |