2019年 3月
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第五話 茶をもて(武家娘の所作)
だって、お茶ひとつ熱いものは飲めないんだぜ。 ・・・・・・気儘之介はつまらなそうに、そんなことを言う。 子供の頃から、夏はともかく。 冬はいつも、火鉢に鉄瓶がかかっている。 お湯もいつも、沸いている。 ・・・そんな環境で育った、気儘…
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第四話 気儘之介の経緯(いきさつ)
眉をおとして。 お歯黒にするのは、この時代の人妻の証であった。「隠してたわけじゃないわ。でも風太…
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第三話 武士(もののふ)の行く道
夜で、本当に良かった・・・。 波和湯風太郎は、心の底から思っていた。 これがもしも、町人や商人が…
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第二話 武士の退館
土産だ。 食わないか? そういって自ら、むしゃむしゃと饅頭を平らげていく。 井戸から水を汲んで…
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第一話 刀掛け
おかしい、と・・・波和湯風太郎は思っていた。 ・・・確かに、久し振りではある。 この場所を訪れるの…