エッセイ集

第7話 甲源一刀流・最終話 その伝統と技~6月(2003年) 

 みなさま、こんにちは・・・山野亜紀です。
 私の剣術体験のお話も、とうとう佳境に入ってまいりましたっ。 (^_^)/
 その名も甲源一刀流、・・・仙人の口から語られる、その伝統の技と真実とは・・・っ!

甲源一刀流の達人、机龍之介

 さて前回は、この剣術における歴史について、お話をしました。
 つまりは、剣術として伝わっているものには、それぞれに歴史があって。
 それらはつまり、長~く時を超えて伝わる「先人の教え」・・・という、お話でした。 
 ちなみに、私達が仙人から直に教わったのは・・・そうですねぇ、回数にして、5・6回位だったでしょうか。 
 なんだ、そんな程度かと思いきや。その間に、私こと山野亜紀が受けた超(!)・・・衝撃。 
 それは、並々ならぬものがあったのです・・・。 (-_-;)

 剣術とは言いながらも、その中身は先人達の語る教え・・・。
 それが、とつとつとして、仙人の口を通して語られるのです。
 ・・・そして、その内容はと言えば、それはたかが「組手25本の教え」ではありません。
 その中には、それを残そう。
 そして伝えて行って欲しいという創始者の、強い希望と願いが込められているのです。

 良い機会なのでここで、甲源一刀流の初めの1本目立ち廻り(要するにお芝居)として、紹介してみましょう。
 ・・・甲源一刀流の教えは、全て組手形式です。
 互いに木刀を持って、立ち会いますが・・・殺陣師師の説明は、まずこんなところでしょうか。 

 ●甲源一刀流・五天の内一本目、「妙剣」(みょうけん)。

 勝つ方(正式には「仕太刀(しだち)」と言う)と、負ける方(正式には「打太刀(うちたち)」が、互いに向き合う。
 ・・・勝つ方が、勢眼(せいがん)から隠(いん)の構えに。
 さて「いんのかまえ」とは、剣道でいう処の「右脇構え」のように見える構えで、全身を相手にさらけ出して、どこからでも来い・・・っ!という構えになります。
 負ける方は、勢眼のまま。(正眼ともいう)

 勝つ方が隠の構えからいきなり、相手の方へズカズカと攻め込んでいく。
 そして隠の構えから一度、天空を斬るように上段を通って、真っ向面に。 
 その流れで相手の正眼の剣を叩き落して、中段に付ける。中段は、水月の位置)
 そして、残心。(互いに、一度正眼の構えから下段になって解刀してから、三歩下がる。)

 ・・・つまり、相手の間合いに構わず攻め込んでいき、相手を圧倒したまま打ち込んで勝つ・・・という手なんです。
 ですがこれを仙人に説明して頂くと、それはもう・・・一味も、二味も変ります
 さて甲源一刀流の特徴として、すぐに「隠の構え」にはなりません。
 まずは一度、正眼の構えになってから、その剣先を一度上段を通って初めて、隠の構えになるのです。

正眼から

剣先を上へ挙げて

上段を通って

右の脇構えに

 これはこの流派独特のもので、他の流派では(私の知る限りでは★)やりません。
 そして、相手の間合いに構わずに攻め込んで行く訳ですが、その「隠の構え」ですが、その剣先は初めは後ろを向いていまよね?
 (写真・右の脇構え参照)
 それが後方から、上空を通って相手の面に向かって、一直線に。
 剣先で自分を中心に、半円を描くようにようにして相手の剣を叩き落す。
 ・・・もしも、アウトドアでもやってみたのだったら・・・。
 夜の闇の中ででもやってみたら、もしかしたらまぁ、そんな気になるかも知れません。

 ・・・天空を中国で言う「陰と陽(!)に斬り別ける」ように、後ろから前方にかけて、一直線(!)に斬り裂きその力で相手の剣を叩き落として、そのまま中段に付ける。
 ・・・これが、甲源一刀流の教えの中で、一番初めに習う組手である「妙剣」なんですが、その教えが、これ・・・。 (;一_一)A

「天空を斬り裂くように」っていうと、イメージでいうと、こんな感じ…?

 その時の私こと山野亜紀サンの、正直な感想って・・・、まぁ、こんなモンでしょうか・・・★ 
 私の、脳味噌の作りが暴露されますね・・・★ (^_^;)
 ・・・うーむ。陰と、陽かぁ~ーーーー・・・。
 昔はなぁー、教科書もまぁ、そうはなかっただろうし。(あくまで、私一人の考えです★)
 剣術が、ただの喧嘩の手段ではない
 尊い教えなのだと、主張するためにもさて、陰と陽なのかナァーーーー・・・。
 ・・・しっかし、隠の構えから敵の剣を叩き落とすのに、わざわざこういうウンチクって、付けるモノなのか・・・? (?_?)
 ・・・・・・さてさて、私の独りよがりな考えはさて置きまして、甲源一刀流の教えは、更にまた続きます。
 甲源一刀流・残心組の内一本目「霞隠」(かすみがくれ)。

 勝つ方は、勢眼の構え。
 負ける方は、右八相の構えから一度、相手の刀を上から押さえます。
 それから直ぐに、上段になって斬り掛ろうとした、その瞬間・・・っ!
 勝つ方は、いきなり「霞(かすみ)の構え」

これが甲源一刀流の霞の構え。構えれば、その先に春の景色が見える!

 ・・・つまり、嘘騙し・・・とでも言えば、判りやすいでしょうか?
 相手が来ようとした瞬間に、こちらが先に剣先を「相手の目に付けて」しまうのです(!)
 相手は不意を突かれもしますし、刀の切先が自分の眼に付けられる訳ですから、思わずドキッとする訳ですね。 (‘_’)
 怯んだ相手の隙を突いて、攻め挙げる・・・とまぁ、この組手はこんな風に始まるのですが・・・でそこで、甲源一刀流の教えです。
 その「霞の構え(!!)」です。

 ・・・白いお髭の仙人は、私達に、こんな説明をなさいました。
 霞の構え・・・・・・・・・
 ・・・私が、「霞の構え」になりますと、こう・・・私の剣先の向こうには・・・
 春の山々の、こう・・・ぼんやりとした、ぼぅーっとした景色が広がるわけです・・・。
 霞の構えとは相手を霞ませるのです・・・。

 ・・・ふふふふふ・・・・・・。
 そのお話を聞いた・・・私なんですが(!)おもむろに心の中で、こんな事を呟きます・・・。
 何しろ、その構えの先には、春の野が見える(!)訳です・・・。

イメージでいうと、剣の先に広がるのは、こんな風景なの…???

 ・・・ツクシが、生えていたり。
 メダカが泳いでいたり。
 時には、桜が散っているのかも知れません・・・。
 ・・・うーむ★
 総天然色テレビで育った世代の・・・私です★
 霞の構えを取ると、その剣の先には春の野山が見える(!)というお話に、大変な感銘を受けました・・・。
 現代では、薬(例えば、合法ドラッグ?)でもうってないと、それは見えないモノなのかも知れません。 (^_^;)
 でも、そうした教えが・・・何となく、日本の文化であるようにも、思えるのです・・・。

小説・大菩薩峠のカットで、甲源一刀流の使い手、机龍之介!

  さてここで、大河ドラマの「武蔵~MUSASHI~」のお話です。
 ・・・このドラマでは、様々な流派が登場いたします。
 まずは何と言っても主人公、宮本武蔵の創った「二天一流」。そして武蔵の胸を騒がす「柳生新陰流」。柳生と共に、将軍家御指南役であったという「小野派一刀流」。 
 ・・・そして現在では、当主が居なくなってしまった為に。
 伝える人も、そしてどんな技を使っていたのかも、想像の範疇を出る事が出来ません(!)
 京八流の流れを、汲んでいたのではないかと伝えられる「吉岡流」
 そして小次郎の師匠であった、鐘巻自斉の「鐘巻流」
 何しろ一代限りで、もう伝える人もいない・・・佐々木小次郎の立ち上げた「巌流」
 槍の「法蔵院流」は、十字槍が特徴です。
 忍者も出て来たりで、特殊武器の技も冴え渡ります☆
 ・・・そして来年の大河ドラは、「新選組!」。 
 知る人も多い、天然理心流です。

●林先生は様々な古流の流派をご存知ですが、先生が教えてらっしゃるタレント養成所でもそれを教えていらっしゃいます。

 やはり皆さん、有名な流派を好むようですが、こうした古流の武術は、立ち廻りのようには巧くはいきません★
 立ち廻りでなら3回でOKを出す生徒も、この古流の剣術では4・5度と挑戦を、繰り返します。

この、ひたすら走っているのは、先生率いるプロダクションの人達らしいです。・・・監督さんが「ひたすら走っているOPもいいのでは」とおっしゃったからだそう★

 ・・・林先生とも話したのですが、例えば柳生新陰流の燕飛の太刀(えんぴのたち・隠し技を6個繋げたもので、難しい)などやらせると・・・多分、納得がいかないのでしょう。
 何度も。何度も繰り返して、稽古をしています。

 相手との間合い。
 相手に打ち込んでいくタイミング。
 どれか一つでもズレると、間の抜けた、何だか訳の判らないものになってしまいます。
 ・・・また林先生が技の一つ一つを丁寧に説明して下さるので、まずそれに納得をしてから稽古をするので、自分がおかしな事をしているのが、余計に判るのでしょうか。
 ・・・山野亜紀が林邦史朗先生から学ぶ剣術体験は、これからどんどんと続きます。

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