林流殺陣・稽古目録総覧

殺陣で、危険を回避する

安全管理も、殺陣師の大事な仕事の1つです。

 立ち廻りを演じる際には、怪我をさせない・しないが鉄則のルールです。
 下記の事に注意をして欲しいと、林邦史朗が書き残しています。

1.力を入れ過ぎない。
  必要以上に力を入れ過ぎると、自分の形も汚くなりますし、相手も実は(!)やりづらいです。
  相手に怪我をさせる原因にもなりますし、自分の動きも鈍くなるわ、刀が折れる原因にもなります。
  注意しましょう。

2.自分本位で、周りが見えなくなった時には、要注意!
  お芝居である殺陣を、計算通りに演じられる処まで、まだ辿り着けないでいる皆さま・・・。
  くそリアリズムは逆に、怪我の原因になりますから、注意しましょう。

3.立ち廻りの手を、間違える(!)
  左で受ける処を右で受けちゃった、攻撃の順番を間違えちゃった・・・などなど(!)
  相手も自分も、慌ててしまったり、ドキドキしてしまいます。
  十分に稽古をした上で本番に望み、また攻撃の「斬り込み」や「突き」などは基本を大切にし。
  適格な位置に、きちんと攻撃が出来るように訓練をしておきしましょう。

4.タイミングが間に合わない!
  まだ先方の態勢が整っていない(!)のに、勝手に自分のタイミングで掛かってきたり、どんどん攻撃をしかけてくる・・・などなど★
  殺陣は、相手が会って初めて成立するお芝居ですから、お互いに気持ちよく、良い演武が出来るよう気配りをしましょう。

5.視覚を考えない!
  立ち廻りは原則として、カメラから見て縦位置の場合は、攻撃を相手に届かない処します。
  (首を払う時などは、相手の手前を払えば、合せて受ける方が低くなる・・・など。殺陣には、視覚を使った手品が多用されていると思って下さい)
  いくらでも「やりようがある」ので、無駄に危険を伴うような動きは避けましょう

6.相手に当てない。
  相手を殴る時の寸止めは、拳や刀が当たっていなくても、本当に斬ったように、殴ったようにみせるのが殺陣の技術です。
  どうしても当てたい場合には、受ける方の身体に防具(雑誌など)を入れましょう。
  また、小道具の刀でも、抜き銅をしたら刀が折れて、あばら骨にヒビが入る事もあります。
  怪我は、する方も、させた方も辛いものですから、心掛けましょう。

7.打ち込み・月・斬り返しの攻撃が、止まらない。
  立ち廻りでよく使われる攻撃方法「打ち込み」は、斬り込んだ剣先が、相手の頭上30センチ手前の位置に止まっていなくてはなりません
  その打ち込みが止まる寸前に捌くので、相手の攻撃を払ったように見えるのです。
  これが止まらないと、勢い余って顔面に当たったり、突いてしまったりして危険です、注意しましょう。

  また「突き」も同じ事で、いきなり仕掛けては相手が受けきれないので、手前に少し引いて「突きますよ」という合図をしてから突いていきます。
  この攻撃も、受ける相手が払い易い位置に、自分の意志で止めなくてはなりません。
  そのまま突き込んで行くのは、非常に危険です。

  最後に「斬り返し」ですが、これだけは手前で止めるのではなく、左右の横面に斬り込み、相手のコメカミの位置で刀を止めます
  これを相手は受けますが、右面のつもりが左になってしまったとしても、相手に当てずに、剣先を止めなくてはなりません。
  止めるべき処で止まるよう練習をしましょう

8.間合いが近い。

  相手との距離のことを「間合い」といいますが、これが近いと、思わず当てられる場合があります。
  次の手に移ろうとしても、近すぎて互いが邪魔になり、自分も相手も技が出辛くやりにくく、互いがぶつかるなどの危険に繋がってしまいますのでご注意を!

9.振り向いた時や、相手と入れ替わった時に刀を回す。
  前の敵を斬って、今度は後ろの敵を斬ろうとした時に「刀を振りかぶったまま、振り向く」と、刀が自分の後ろで回り、それが傍にいる人や、隣りで戦っている人に当たってしまい、怪我の原因になります。

10.刀を振りかぶった時には、特に後ろには注意を!

  後ろに人がいないかどうかを目で確かめるか、もし人がいるようなら、声を掛けるなどなどして、互いに注意をうながします。 
  テレビや舞台の立ち廻りで、実際に真剣を使うことはありません。(居合の有段者同士が行う場合は、有りえる)
  映画の撮影で真剣を使い、「探せ」のセリフと同時に刀を振りかぶった時に、傍にいた俳優の首に刺さって死亡した例があります。 
  乱戦で、前の敵を槍で突こうとして、後ろにいた人の目に石突が当たって失明させたという例もあります。 
  大変痛ましい結果になってしまいますので、充分に心掛けて殺陣を演じて下さい。 

11.受ける方の注意点
  攻撃を受ける方は、常識として相手の攻撃を下がりながら受けますが、例外として、1人払って2人目の敵に向かう時などは、やや進む場合が多いです。
  この場合、「攻撃を払われた方」が「攻撃を避けた人の側を通過する際に、避けた方の人の剣攻撃する人の通過点に残っていたりする」と危険で、駆け抜ける相手の顔面に当ててしまう事に繋がります。
  そのような事がないよう、気を付けましょう。 

  また「斬り返し」では、横面で相手の攻撃を剣の先の方で受けてしまうと、受けた刀と共に顔面に当たってしまったり。
  そうかといえば、受ける手を逆に、刀を上に上げ過ぎて受けてしまうと今度は、受ける人の刀を握っている手打たれてしまったりなど、攻撃も受けも力が入りすぎてしまうと、こんな事態になる場合があります。

  「受け流し」も、これを中途半端に受けてしまうと、攻撃する方の力が強すぎた場合には、受けた刀が顔面に当たってしまう事もあります。
  受け流しの形は、剣先が肩に当たる位置で受けるようにしましょう。

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